これまで5回にわたって記してきたりんかい線製作記も今回で最終回。そうこうしている間になぜか虹ヶ咲のパネルがりんかい線各駅で復活したらしい。これには例のイルカもニッコリといったところか。
最終回の今回は、種車がTOMIX製となる初期車モハユニットの製作である。この場合、パンタ撤去、屋根ビード、りんかいロゴ、ドアの複層窓が模型と実車の差異になる。ドアの複層窓についてはどうしようもないので今回は無視。
まずは、ボディおよび下回りの加工である。下回りは記事②と同じメニューであるので省略。ボディについても、ほとんど記事②と同じであるが、加えてりんかいロゴの張り替えを行った。あらかじめ印刷されている後期車用のロゴマークを、Mrカラーうすめ液を染み込ませた爪楊枝で擦ることにより除去した。この際、下地へのダメージも若干入るので、きれいに剥がし切ることを目的とするのではなく、りんかいロゴを貼り直した時に最も綺麗になるであろう状態で止めておくことが重要である。

図1. ロゴを剥がした状態。写真では下地へのダメージはわからない。
文字無しのりんかいロゴは、世田谷総合のものを使用した。また9号車、70-021は弱冷房車であるのでその標記も手持ちの世田谷製インレタから貼り付けた。標記を貼り付けた後はクリアーを吹いて完成である。

図2. 標記貼り付け後。りんかいロゴも置き換えている。
続いて屋根の加工を行った。まず、3号車(70-022)については、ジャンク製品から取り外した、細ビードの屋根パーツを切り継ぎ無しで用いた。この際、ラジオアンテナが取り付けられていた部分については、アンテナを撤去したうえで、取り付け用の穴をタミヤのパテで埋めた。そして乾燥後にビードにあわせてアンテナが設置されていた部分に切れ込みを入れた。

図3. ラジオアンテナ撤去・ビード加工を済ませた状態。
そのうえで、ねずみ色1号を吹くことで色調を整えた。比較的厚めに塗らないと、パテ部分の色が周りに馴染まなかった。

図4. ねずみ色1号を吹いた状態。
あとは、クーラーを元通りはめ込み、車体を組み立てることで3号車は完成となった。若干パテ部分が分かるのはこの際仕方ない。
さて最後にして最大の難題が2号車である。2号車の屋根はパンタの撤去跡を表現するため、必然的に切り継ぎが必要となった。
屋根の大部分は、ジャンクから取り外したパンタグラフ付き細ビード屋根となる。その端部を切断したうえで、パンタグラフ台の部分のみを切断した元製品の屋根と繋げることとした。これは、地味に209系の屋根と70-000形の屋根で配管の位置が異なっていることによる。

図5.利用した屋根の部分
どちらの屋根も想定する長さより1〜2cm程度長めに切っておいて、切断面をサンドペーパーで平滑化しながら想定通りの長さにした。2つの屋根の境界線が、元製品の屋根のビードがなくなる部分に相当するようにするのがポイントである。ここで一度失敗したのが、余裕を持って屋根を切断しなかったために、細ビード屋根を1枚無駄にしてしまったことだ。幸い、元々の構想では細ビード屋根を2枚使用するつもりだったので、予備品が確保できていたので作業を停止することはなかったが、ジャンク製品をネタ車として再生する際の屋根の確保が課題として残ってしまった。
切断面を平滑化したのち、タミヤセメントを用い2つの屋根を接合し、それでも生じてしまった隙間はタミヤのパテを使用し埋めた。あわせて、細ビード屋根側に存在しているパンタグラフの配管はすべてサンドペーパーで削り取り、実車写真を参考にφ0.2の真鍮線および横2列の配管止め、0.3tのプラ板を利用しパンタグラフの撤去跡に残る配管を再現した。またφ0.4の洋白線でパンタ台至近の配管も再現した。パンタ台に空いている穴および避雷器の穴もまたタミヤパテで埋めた。配管を削る段階で、パンタ台の微小な突起も削ってしまったため、φ0.2の真鍮線にて突起を修復した。以上が完了した段階での画像を図6に示す…と言いたいところだが、実はφ0.4の洋白線をつけ忘れているので、塗装後に新しく付け足した。

図6. 屋根周りの加工を済ませた状態。
最後に、金属線の部分にメタルプライマーを塗布・乾燥させたうえで、ねずみ色1号を厚めに吹いた。結果を図7に示す。これにて、1番の難局であった屋根の加工は完成となる。

図7. 屋根の切り継ぎが完了した状態。
なお図7では切断面が比較的目立ってしまっているが、実際にパンタグラフを載せてみると意外と目立たなくなった。また、細ビード屋根車のパンタ台を活かした関係で、屋根を切り継いだ段階で屋根の向きが逆になってしまっていた。そのためクーラーの爪を切断し、ゴム系接着剤でクーラーを貼り付けることとなった。
最後に、70-021のボディについて、パンタ撤去後も残存する配管の再現を行った。屋根上の追加配管からそのまま下ろした位置の妻面に、上部の四角い出っ張りの中央および、1,6,11本目のビードの下、ビード間中央付近にφ0.3の穴を開け、横2連の配管止めを用い、あらかじめ銀色に塗装したφ0.2の真鍮線2本を固定した。この真鍮線は妻面下側でボディ内側に折り返す。また固定過程で剥がれた塗装について、銀色でタッチアップをした。
最後に室内灯の取り付けおよび行先表示の貼り付けを行なった。方法は記事②に同じである。
以上で、70-000形の加工およびZ2編成の製作は完了となる。
と思いきや最後に一仕事。マイクロエースの先頭車は台車が奥まっているので、試運転をしたところC280で隣接車とボディが接触することが判明した。そこで、カプラーのバネを復活させた上で、KATOカプラーの土台部分を削ることで車間を確保した(図8)

図8.カプラーの加工
以上をもって、本当に加工が完了となった。生活環境の変化や施工手法の検討に時間がかかったこともあり、種車購入から実に4ヶ月ぐらいは経ってしまった。今回は、パイピングや屋根の切り継ぎなど新たな加工技術に挑戦し、実際に身につけることができたので良い経験となった。ただし、塗装面の凡ミスで結構目立つ欠陥ができてしまったのは悔やんでいる。

図9. 編成させた状態。

図10. 走行状態を上から。苦労して加工した部分が見える。

図11. ケースに入れて1枚。
今回、3ヶ月ぐらい結構真面目に追いかけたラッピング電車を手元に残すことができて満足している。また当の虹ヶ咲については、りんかい線とのコラボパネルが突然復活したりソシャゲが終わったり、全国ツアーをしていたり、事実上の14話が劇場公開されていたり、ライブが新規開業するKアリーナで予定されていたりと、今後も目が離せないコンテンツである。他方、電車のほうに目を向ければ、来年には置き換えが開始されるとのことで、その意味でも手元に模型を残せてよかったといえる。
手持ち模型コレクションで言えば、年末にはE231系近郊型を購入予定で、E233系近郊型と併結した15両を楽しむことができる予定だ。つまり山手貨物線を再現できることとなる。EH500が再販されれば、3086レを再現することもできる。また現実世界では実現しなかったが八高線205系とも並べてみたいと思っている。
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