(2025/04更新)エクストリーム・”浜”名阪移動記

2025/04追記: スマートEXの改悪と飛行機の可能性

2025/4/5: HND12:30→ITM13:35 (JL117) 9,400円

さる1月30日、スマートEXの商品改定が発表された1。改定というが、端的に言えば改悪である。最も安い(新)EX早特21は12,650円で、(旧)EX早特28ワイドは11,900円、21ワイドは12,030円で乗れたことと比較すると、かなり厳しい改定と言わざるを得ない。しかも、(新)EX早特21は予約後の変更が一切不可ときたものだから、新幹線のメリットをまるで活かせて無いと言っても、言い過ぎでは無いだろう。さらに、のぞみ号の自由席号車も削減されてしまった。

こうなると、存在感が増すのが航空機である。最近ではJAL、ANAとも定期的に航空券のタイムセールを実施するようになり、場合によっては新幹線よりも安い価格で移動ができるのである。ここで、空港への移動費を考えているのか、という疑問が湧くだろう。しかし、EX予約系は「◯◯市内」が付かないことを鑑みると、横浜駅→大阪(梅田)駅で見れば、横浜側で219円2、大阪側は260円3の差額となり、これは(新)EX早特21との差額を考えれば優にペイできるものである。

もちろん、航空券セールは確実に券が取れるものではなく、チケットの入手可能性で言えば新幹線よりも低くなってはしまう。ただ、利用の価値は十分あるだろう。

この日は、取れたぎりぎりの便が羽田昼過ぎの便であった。ちょうどJAL CLUB ESTの特典が使えたので、早めに羽田入りし、だらだらとラウンジで同行者と当日の予定を考えていた。

さて飛行機であるが、乗ってしまえば爆速。ビジネス客が多いという特性も相まって定時性が高い路線で、羽田空港では滑走路05に回され離陸に手間取ったものの、その時間は時刻表にしっかり織り込まれていた。さらに、伊丹のアプローチは大阪市街地上空を直接入り、遠回りをしないのでストレスが少ないといえる。一方で、実飛行時間は45分程度であるため、シートベルトサインが消えている時間、つまりWi-Fiが保証され、テーブルを展開できる時間は30分もなく、せわしないとはいえよう。

羽田空港アクセスはさておき、伊丹空港はイメージよりも大阪都心に近かった。時刻表上の到着時刻は着陸時刻であったが、29分後の大阪モノレール線に乗車することができ、その日の最初の目的地であった新大阪エリアに至近である阪急線の南方駅までの所要時間は、モノレール乗車からおよそ30分程度、羽田空港の搭乗からは2時間15分程度であった。これは、同時間帯ののぞみ号とほぼ同程度である。実際には、保安検査でぎりぎりを攻めるのはハイリスクなので、最低でも+30分、羽田空港までのアクセス時間を考えるとさらに20分4はかかるが、それでもセール運賃がつかめれば航空機を使うメリットは十分にあるといえよう。あくまでセール運賃をつかめれば、という点は重要であるが5

ここ3週間ほど、週末に中京圏から関西圏に出かける機会が多かった、というか毎週末出かけていた。思えば色々な移動手段を使ったので、その所感を記していきたい。

新幹線のぞみ(EX早特28ワイド)

9/27: 新横浜→名古屋(9,040円)、9/29: 京都→新横浜(11,690円※品川まで購入:後述)

少なくとも一番オーソドックスな移動手段であると思われる。やはり新幹線のぞみはさすがの頻発運行と快適性、速達性で、名古屋までは1時間半ほど、無停車なので実質隣駅。京都までもさらに1駅。速いので睡眠する暇もないといった感じである。アイスの車内販売がなくなって以来、硬さを感じることができなくなってしまったのが寂しいところである。

このようにのぞみは非の打ち所がなく、実質寡占状態であるために割引もしょっぱい。さすがのJR東海、殿様商売である。そんな中で、旅行に使えるほぼ唯一といっていい割引がスマートEXの早特である。EX早特28は4週間前までの購入で、だいたい料金が1割引となる。しかし設定席数が少ないので、1ヶ月以上前に押さえておく必要がある。この旅行は早いうちから予定が決定していたので、筆者は1ヶ月半前に予約した。

一方でEX早特28は予約変更が一切不可なので、行動が新幹線の時刻に左右され、臨機応変な対応は難しい。そのため、帰りが近づくと新幹線の時刻を意識して行動せざるを得なくなり、プレッシャーがかかる。ゆえに、スポーツイベントなどであれば次節で述べる早特21がよいだろう。

また、JRのシステムの都合上、1ヶ月以上前に押さえようとすると座席が選べないうえ、同行者と連番で座席を取ろうとする場合には、区間をそろえる必要がある。今回、同行者が品川下車だったため、330円を追加して筆者も品川まで購入した。それでも正規料金よりは安い(後述の早特21よりも高くなる)が、あまり良いシステムではないと思った。

新幹線のぞみ(EX早特21ワイド)

10/5: 名古屋→新横浜 (9,140円)

基本的に乗る列車は前項と一緒だが、こちらは予約期限が21日前となっている。その代わり値段が若干高く、名古屋〜新横浜であれば100円高くなる。またEX早特21の隠しオプションとして、当日に限り空席があれば列車を変更できる点がある。この日はナゴヤドームにベイスターズ戦を見に行ったのだが、野球はその特性上終了時間が読めない。そういった時には、1ヶ月前で、早特28に空きがあっても、敢えて早特21を取るという選択をするのがよいだろう。実際、筆者もこの日の試合が少し長くなったので、列車を当初予定の10分後に変更した。

なお後述するが、この日の往路は在来線とした。

横須賀優勝を祝ってくれるナゴヤドーム。やさしい

新幹線ひかり(自由席)

10/13: 新横浜→京都

さて、これまでスマートEXを利用していたが、早特商品でないスマートEXには、はっきり言ってメリットはない。なぜなら、無割引なのにもかかわらず、通常のきっぷに付与される「○○市内」が付与されず、別途新幹線停車駅までの運賃が必要となるからだ。

したがって、市内のJR在来線沿線からの利用であれば、紙のきっぷをえきねっと等で買った方がよいということになる。より一般的に言えば、前後がJR在来線であるのなら紙の切符を使ったほうがよい場合が多い。分割切符などの原理により、100%その方がよいとは言い切れないのだが。

さて、この日は甲子園球場にクライマックスシリーズ ファーストステージを見に行ったのだが、今年は広島東洋カープの歴史的大失速もあり、CSへの出場が確定したのが10月2日であった。当然、早特商品の発売期限は過ぎている。

また、前日の10/12には林道が冬季閉鎖になる前にオフロードを攻める会と、アンサンブルの練習との双方をこなすこととなり、長距離の乗車券を1枚にする機運があったため、紙の切符を使うこととした。

本当は野辺山分割の方が120円ほど安いのだが、1枚にしたかった。

さて紙の切符にするとなると、問題は特急券である。折しも世間は3連休、JRは繁忙期であり、のぞみ指定席と自由席の差額は1000円を超えることに。そこで今回は自由席を利用し京都へ向かうこととした。なぜ京都かは後述する。

さて、中日(なかび)とはいえ、3連休であり、のぞみの自由席は3両しかなく新横浜からの着席は望めない。のぞみなのに。そこで今回は、ひかり631号を利用した。

ひかり号は自由席が5両設定されているうえ、所要時間もかかることから、新横浜からでも十分着席が望める、というわけだ。新横浜初便の533号を別にすれば、京阪神地区へはのぞみ号よりもおよそ30分ほど余計に時間がかかる。乗車当日のひかり631号は、小田原・名古屋・岐阜羽島・米原で1本ずつのぞみ号に追い抜かれた(当日の臨時列車の本数によってこれは違うらしい)が、十分ゆとりをもって仮眠を取ることもでき、快適に過ごすことができた。同じ東海道新幹線なので乗り心地はのぞみ号と遜色なく、特に小田原から豊橋間は無停車なのでのぞみさながらの走りを見せてくれた。豊橋と米原で旅客の出入りが多かったことが印象的であり、特に米原から京都は満席となっていた。

近鉄線急行(名→阪)

9/27: 名古屋→伊勢→(西青山途中下車)→大和八木、9/28:橿原神宮前→大阪阿部野橋 その他観光などと合計で5,000円

ここからだんだん移動手段が限界になってくる。

名阪間を近鉄特急で移動することはメジャーであるが、今回は伊勢、奈良県内の観光と組み合わせて、名阪間を乗り通しではないものの急行で移動した。

近鉄線は「週末フリーパス」という3日間乗り放題の切符を5000円で発売しており、今回は観光を組み合わせるのでそちらを利用した。なおこの週末フリーパス、なぜか当日購入が不可能であり、関東圏で前日までに手に入れるためには近畿日本ツーリストの店舗まで出向くか通信販売(送料520円)を利用しなければならない。幸いにして、生活圏に店舗があったため出向いたが、30分ほど待たされてしまった。当日・窓口での購入をできるようにしてほしいものである。このフリーパスは、名阪間の片道利用であれば元は取れないことに留意する必要がある。

さて、近鉄線の急行であるが、車両によっては進行方向向きの2人掛けシート、いわゆる転換クロスシートであり、すこぶる快適に過ごすことができる。というか、同じようなシートでグリーン料金を取る東京圏ってどうなんだ、と思ってしまった。

一方で、この転換クロスシートが来るかどうかは運次第(ざっと調べたところ時刻は固定で、名古屋〜伊勢系統のほうが多そう?)で、クロスシートが来なければ普通の通勤電車となるので、途端に快適性は一気に落ちる。また、榊原温泉口〜桜井の各駅停車区間がなかなか終わらず、特に日没してしまうと退屈である。

翌日利用した橿原神宮前からの南大阪線系統はロングシート車両しかなく、普通の通勤電車である。古市から阿部野橋までノンストップである点は評価するものの、例えば藤井寺では副本線を通過するなど、「ドアが開かないだけ」感は否めなかった。しかし、遅いからと言って停車駅を追加してしまうようだと、京葉線の通勤快速みたいいなるのでそれもそれでよくないと思う。

JR在来線(浜→名)

10/5:自宅最寄り→大曽根 2,616円相当

さて、10月5日のナゴヤドームの往路はJR在来線で向かった。「鉄道の日記念・秋の乗り放題パス」が利用できる期間にちょうど入り、翌日群馬でイベント列車に乗る用事もあったのでこちらを利用することとした。なお月曜日も有給を取り温泉に入りに行ったので、実質の値段は7,850÷3 となった。

秋の乗り放題パスは実質18きっぷ(ただし少し高い)なので移動価格もその程度。一方、利用条件が限られるため18きっぷのハイシーズンよりも殺伐とした感じはなく、利用全区間で着席できた。

今回は、東海道線321M沼津行きを起点とし、三島・静岡・浜松で乗り継ぎ金山へ、金山からは中央西線でナゴヤドーム最寄りの大曽根駅へと向かうこととした。三島からの電車は御殿場線運用の折り返しで転換クロスシート車、浜松からは足の長い貴重な特別快速に乗れる、快適な乗り継ぎである。なお沼津終点まで乗ると2本目の列車での着席可能性が下がるので、一つ手前の三島で降りるとよい。

三島からの電車は4両しかないため、横浜からの10両編成は予め階段最寄りの8号車に座ったのだが、小山車両センターの初期車が来てしまったためイスが極めて硬くつらかった。三島以降は、静岡からが315系のロングシートであるほかは転換クロスシートであり十分イスも柔らかく、仮眠を取りながら向かうことができた。

一方で、このルートは名古屋までであっても6時間かかってしまうため、所要時間が極めて遅いというデメリットがある。まあ18きっぷ旅ですね完全に。ナゴヤドームの試合開始は14時であったので、到着後に昼食を摂りドームに向かうことができたのはよかったのだが、イオンのスガキヤは大変混雑していた。

トヨタレンタカー 片道GO!

10/13→14: 京都→町田 (8000円/人ぐらい)

最後に紹介するのは、最強にして最凶の移動手段、片道GO。ワンウェイレンタルの返却回送を貸し出しているもので、24時間、補償をフルでつけて車両代は2200+1100+550=3850円と大変格安である。

一方で、ワンウェイレンタルの返却回送という特性上、「2~3日前にならないと出ない」「台数が限られる」「車種は選べない」「貸し出し・返却場所も選べない」というきわめて厳しい制約がある。

今回、先に述べたようにCS出場が直前に決まったことと、一回これを使ってみたかったこともあり、なんとか必死こいて電話予約を入れた。

午前中に京都市内で車を借り、宇治を観光しつつ西宮へと移動しCSを観戦。

許波多神社(京都府宇治市)
阪神甲子園球場

同行者のうち1名が新幹線による帰宅で離脱したこともあり、帰路は3名での移動となった。阪神高速道路をドライブしたのち、豊中より名神→京滋バイパス→芯名神→伊勢湾岸→新東名→東名、のゴールデンコースで関東へと戻った。

阪神高速道路・朝潮橋PAからは天保山大観覧車を望むことができる

途中、お土産のために吹田SAに、また交代・休憩のために刈谷・掛川・駿河湾沼津に停車した。各所での停車は15分程度(沼津のみ仮眠を加え45分程度)で、甲子園付近から関東までの所要時間は7時間程度であった。また、この距離を無給油で運転することは困難であったが、高速道路上のガソリンスタンドは価格が高いため、以下の箇所で給油を行いコストを抑えた。

・阪神高速道路に乗る直前
・豊中で阪神高速道路から名神高速道路に乗り換える途中で、一度一般道に降りる
・駿河湾沼津SA(10Lのみ、余裕を加味した最小限の給油
・厚木で高速を降りた直後
・レンタカー返却直前

今回は小型ワゴン車を押さえられたこともあり、ゆとりある車内空間を実現するとともに交代運転者に質の良い仮眠を提供することができた。また、運転者が3人いたことで、関東まで効率良く運転ができたものと考えている。これが2人だと沼津で力尽きていた。

名港トリトン付近

遡って7年前のクライマックスシリーズでは、雨天による度重なる開始時刻の順延や中断が挟まり、デーゲームのはずが最終の新幹線にぎりぎりになってしまったことを鑑みれば、終電という概念が存在しない自動車での移動はメリットがあるものと考えられる。また3人で割り勘すれば一人当たりの総コストが8,000円程度となり、JR普通乗車券と同程度になるためコスト面でも有利である。他方、野球観戦後という条件もふまえると体力的にはかなり厳しいうえ、球場での飲酒が不可という点がデメリットといえよう。現在も、この原稿は半分寝ながら書いている。

また、そもそもの片道GO自体が、車両が出るかどうかの不確定要素が強いため、(最悪は新幹線の自由席に飛び乗ればよいものの)旅程を早くからFixさせる必要がある場面には向かないともいえよう。

まとめ

3週連続でこんなに大移動をすることは今後ないかもしれないし、徹夜でドライブするのも30代になったら体力的に厳しいかもしれない。

そんな中、様々な移動手段を一気に試すことができて、楽しい休日を過ごすことができてよかった。

  1. 「エクスプレス予約」・「スマートEX」の商品改定について ↩︎
  2. 新幹線:京浜東北線・横浜線経由、飛行機:京急線経由 ↩︎
  3. 新幹線:JR京都線経由、飛行機:大阪モノレール・阪急宝塚線経由 ↩︎
  4. 横浜駅発着の場合 ↩︎
  5. マイレージ修行をやっている場合はまた話が変わってくる ↩︎


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